
中東アラブと言えば
トルコはアラブ人では無いので、ここからが本物のアラビア語を話す中東アラブ世界へ。そんなシリア、ヨルダンは、エルサレムへ行く為の中継点と思っていただけで、特に知識も無く、期待もしていなかった。
イメージは、あっても砂漠の国、いつも戦争している、髭の怖い人多そう、といったステレオタイプの想像だけ。そしてそれはいい意味で裏切られる。
シリアへは、トルコ最南端のアンタキア国境から、陸路で入国する。トルコとシリアは同じイスラム教の国だが、クルド人問題などがあって両国の関係は悪く、国境の検問もギスギスした感じだ。シリア入国のビザは事前に日本の大使館で取ってあったが、それが無いと、この国境で追い返されてしまう。
その国境では「シリア以外の国に行く予定はあるか?」としつこく聞かれる。エルサレムを目指す、なんて言ったら大変な事になるので、ヨルダンには行く予定だ、としか言わない。いきなり、中東の複雑な国事情の洗礼を受ける。

レバンテ(太陽が昇る所)と呼ばれ、北をトルコ、西にレバノン、南にヨルダン、東にイラクに囲まれている
アレッポからシルクロード古代都市を目指す
シリア側に渡ると、タクシーの運ちゃんがたくさんいて、どこ行くんだ?と声をかけてくる(アラビア語分からないので、たぶんそう言ってるはずだ)。身振り手振りで値段交渉をして、シリア第二の都市アレッポを目指す。
ここシリアやヨルダンは、ヨーロッパと中東、アジアをつなぐ中継点で、紀元前からの古い古い歴史がある。特にシリアのパルミラと、ヨルダンのペトラは、シルクロードの要衝、オアシス都市として大いに栄えた。

取り敢えずアレッポから、パルミラ遺跡に向かう事にする。道で乗り合いタクシー(のようなもの)を拾い、シリア砂漠を車で5時間、ひたすら砂漠を東進する。
そして、砂漠の中に忽然と、列柱やローマ風建造物などの遺跡群が姿を現す。パルミラだ。
ここは中東三大遺跡の一つ(3Pと呼ばれていて、他にヨルダンのパルミラとイランのペルセポリスがある)だ。ローマ時代よりもずっと前の紀元前1,200年頃から人が移り住んで、様々な神様が祀られている。

古代遺跡パルミラの神
広大な敷地の中に、遺跡が点在するパルミラを見て回る事にする。
パルミラ遺跡の中心部に、ベル(バアル)神殿がある。レバノンのバアルベック神殿とも繋がるらしい。

元々バアル・ゼブル(気高き主)という農業の神様だったのだが、後から入植してきたヘブライ人により、語感の似ているバアル・ゼブブ(蝿の王)と呼ばれ、忌み嫌われるようになる。その後、新約聖書の中ではベルゼブブ(Beelzebub)となり、堕天使ルシファーに次ぐ悪魔の代表的な存在になってしまった。
ベルゼブブは、グリモワールという魔術書によると、魔界の王サタンの次に邪悪な神で、魔界君主と呼ばれていた。体は大きく、頭には角が二本生え、ライオンの尻尾を持ち、足はアヒル(!?)だそう。真っ黒な全身に頭に真っ赤に燃える帯を巻いていて、怒ると炎を吐く。鳴き声は狼とも豹とも言われていて時折豹に変化する事も。。散々な描かれようですね。。

このベル神殿は、作られた当時は豊穣の神として崇められたが、その後の変遷で悪魔の神殿とされてしまった。そして2015年のIS侵攻の時に、このベル神殿を含むパルミラ遺跡は破壊され、かなりの部分が瓦礫の山と化してしまったという。ほんとうにほんとうに残念だ。

パルミラにいた地元の男の子と話したら、岩の下にはサソリがいる!刺されたら命は無いので、気を付けろ!と怖い事を言われる。
幸運なことにサソリとは遭遇しなかったが、パルミラの神殿と列柱の間から、砂漠の壮大な夕日を眺めた。

悠久の都ダマスカス
パルミラから車を飛ばして、シリアの首都ダマスカスに到着。
ダマスカスは、紀元前3,000年(!)から栄える、世界で最も古い都だそうな。
そんなダマスカスは、7世紀にカリフ・ワリードが、この街を包囲、攻略し、全イスラム帝国の首都にした。イスラム教の四大聖地の一つで、第一・生誕のメッカ、第二・移住のメディナ、第三・昇天のエルサレム、に次ぐ、第四・始まりのウマイヤド・モスクとなっている。

ダマスカスは古代の物語の中心的な場所で、東のオアシスはエデンの園のモデルと言われていたり、北のカシオン山は旧約聖書にも出てくる。
キリスト教と同居する?ウマイヤド・モスク
ダマスカス中心部にあるウマイヤド・モスクは、元々聖ヨハネ教会と言われ、洗礼者ヨハネの首が眠っていたそうだ。(ヨハネは、イエスをヨルダン川で洗礼したので、洗礼者・先駆者と呼ばれている。そのヨハネもローマ王ヘロデに首を切られ、このダマスカスに葬られたという)
その教会を、モスクとして建て直し、イスラム帝国の首都にある最初の中心的なモスクとした。

このウマイヤド・モスクの中には、ヨハネの首塚というものがある。モスク内の礼拝所の片隅に、ヨハネ霊廟があり、みんな中を覗き込んで、ブツブツ言ってる。僕も見てみたが、特に何もない。
イスラムのモスクの中に、キリスト教聖人が祀られているのも興味深い。聖ヨハネ教会を壊してモスクを作る際、聖人に呪われる、と言われていたので、ワリードもそれに気を使ったのだろう。

アラブではモテモテ、ナンパされ放題?
ダマスカスのウマイヤド・モスクを見た後は、中東随一のスーク(マーケット)をひやかして歩く。
アラブ圏はなにげに楽しい。

まず人がいい。外国人が少ないからか、僕らが困っていると、わらわら寄って来て、いろいろ教えてくれる。彼らも英語はあんまり話さないから、お互いボディランゲージで、なんとかコミュニケーションをとる。
ナンパよろしく、ハンマーム(トルコ風お風呂、ちょっと危ない響きですね、、)行かないか、と言われひょこひょこついて行って、サウナに入り、裸の屈強なおっさんに、ヘチマのタオルみたいなのでアカスリしてもらう。。ちょっとお尻がヒリヒリ痛い(!?)
あとはお腹空いたなあという顔をしていると、シリアではチキンだろ、というお誘いで、丸ごとチキン屋さんに連れて行って奢ってもらったり。その後は水タバコを吸いにいったりと、アラブ接待のフルコースを、女子高生のようにほとんどタダで過ごせちゃう。。なんとも愉快なところだ。

そして、ダマスカスから次の国ヨルダンを目指す時も、特に道などを調べる必要は無い。
広場に行って、周りをキョロキョロするだけ。
するとセンター街よろしく(古い!)、男たちがワラワラやってくる。もちろん客引きっぽい奴もいるが、大抵は興味本位で近づいてくるおっちゃんたち。モテモテ、入れ食い(?!)だ。
どこ行くんだ?どこから来たんだ?これからどうしたいんだ?と、いろんな質問を受けるが、「ボーダー行きたい」「アンマン行きたい」と身振り手振りで言えば、「おー、それならあいつの車に乗ればいい」「国境まで行ったら、こいつがヨルダン側の手引きをできる」みたいな、ほんとうだか嘘だか分からないけど、とにかく親身に世話を焼いてくれる。
その中の一台に乗り、ヨルダン国境へ向けて出発!素敵な国、シリアよ、さらば!
次は、インディー・ジョーンズで有名なヨルダン・ペトラ遺跡を目指します。。