100 Days to Ironman Morning

残り38日 – 始まりは雨だった

始まりは雨

運命の日曜日の明け方。全ては準備万端、家族とのミィーティング・ポイント、予想時間なども全て計算済みだったはずだ。

ただその日の朝4時頃から、雨が降り出した。

雨の為の準備もしていたが、雨用の道具を急いで詰め始めると予想以上の荷物になり、何か忘れていないかと不安になった。

とにかくトライアスロンの道具は多い。ひとつでも忘れてしまうと、競技中に取り返しのつかない事になってしまう。

残り36日 – マツイは焦っていた

マツイは焦っていた

まだ日が明けきらない朝方、続々とアイアンマン・ケアンズのスタート・ポイントに1000人のアスリート達が集まってくる。

スタート・ポイントは、ホテルから30分ほどのパーム・コーブというビーチ。

そこへ向かうアスリート専用のシャトルに乗る直前、バイクに積むはずのボトルをホテルの冷蔵庫に入れっぱなしだったのを思い出したのだ。

急いでホテルまで戻って取りに行く。

焦る必要はない。まだスタート時間までには充分時間がある。

ただ雨が降りしきる真っ暗な朝に、何か幸先悪い予感がしてしまったのだ。

アイアンマン・レースのスイム前のビーチ。通常であればネットはおろか、カメラや携帯など普通は持ち込めない。

そこで彼は、今回アイアンマンに出る6人のスタート前のインタビュー動画を撮り、それをYoutubeにあげるところだった。

彼のつながる事への執念と、一部始終を撮り続ける情熱はハンパない。

まずカメラはゴーグル型カメラで、スイム前のインタビューから、スイム中のバトル、海中ビデオまで撮り尽くす。

そして、ビーチからiPhoneにつないで、それをリアルタイムでアップロードする。

その後iPhoneはどうするのか?防水ケースに入れて、スイムキャップにしまうらしい。

それで遅くならないのか。彼にとっては、つながる事、撮る事と、レースは同意義らしい。

その彼がアイアンマン225kmを撮り尽くす、つながり続ける、それが彼のミッション(?)のようだ。

最近では、撮る、つながってアップロードする、だけでなく、IoT/Internet of Thingsにも乗り出して、モノが勝手にネットにつながって、レースの状況をシェアする、というのに乗り出しているらしい。

全長226km、15時間程かかる、やるだけでも大変なレースに、それにプラスしてネットにつながる何かを作り、持ち、つながり、そしてシェアする。IRONMANならぬ、世界初のIOTMANになるんだと、息巻いている。

果たしてそんな事が可能なのだろうか。

残り34日 – それぞれの気持ち

ケンは撮っていた。

アイアンマン・レースのスイム前のビーチ。通常であればネットはおろか、カメラや携帯など普通は持ち込めない。

そこで彼は、今回アイアンマンに出る5人のスタート前のインタビュー動画を撮り、それをYoutubeにあげるところだった。

彼のつながる事への執念と、一部始終を撮り続ける情熱はハンパない。

まずカメラはゴーグル型カメラで、スイム前のインタビューから、スイム中のバトル、海中ビデオまで撮り尽くす。

そして、ビーチからiPhoneにつないで、それをリアルタイムでアップロードする。

その後iPhoneはどうするのか?防水ケースに入れて、スイムキャップにしまうらしい。

それで遅くならないのか。彼にとっては、つながる事、撮る事と、レースは同意義らしい。

その彼がアイアンマン225kmを撮り尽くす、つながり続ける、それが彼のミッション(?)のようだ。

最近では、撮る、つながってアップロードする、だけでなく、IoT/Internet of Thingsにも乗り出して、モノが勝手にネットにつながって、レースの状況をシェアする、というのに乗り出しているらしい。

全長226km、15時間程かかる、やるだけでも大変なレースに、それにプラスしてネットにつながる何かを作り、持ち、つながり、そしてシェアする。IRONMANならぬ、世界初のIOTMANになるんだと、息巻いている。

果たしてそんな事が可能なのだろうか。

残り32日 – それぞれのスタート

それぞれのスタート

やっと日が昇り始め、薄明かりが差す中、徐々に雨が止んできた。

本番のレースウェアに着替える前に、自分のタトゥーシール(ビブ・ナンバーを肩と脚に刻印したもの)を、水をつけて貼る。

このシールを体に貼ると、気持ちが盛り上がり、心も体もレースモードになる。

その後会場に向かうと、ノリコ、シンジ、ハラダがパーム・コーブに着き、各々準備をし、ストレッチなどをしている。

ケンはこの緊張感が好きだ。

もちろん自分も今からレースに出るので緊張している。

ただこの緊張感を共有し、その各々何か考え、準備し、引き締まった顔を見る。なかなか無い瞬間だ。

準備が整い、ウェットとゴーグルだけ持って、ビーチに行くと、もう元の所には戻れない。

後は生身の体だけ、スタートを待つのみだ。

ノリコはいなかった

今回ケアンズでは、ローリング・スタートが採用され、自己申告の予想タイムが速い順に、6人ずつ並んでスタートしていく事になる。

通常、参加者全員1000人ほどが一斉スタートするので、バトルと呼ばれる混乱が最初にあるのだが、今回はそれも少なく比較的落ち着いてスタートできる。

各人がスタートラインをまたいだところから、タイムを計測し始めるので、公平だ。

しかし一方、スイムで速い人が先に行ってしまい差が開いてしまうのと、タイムリミットの時間が個々人で違う(通常は全員夜中の12時などと決まっている)ので、これが最後までドラマを生む事になる。

ノリコは、もちろん先頭グループのスタートラインを維持し、スイムで飛び出す。

泳ぎが比較的得意なシンジとハラダは中盤。

バトルに巻き込まれたくない、イオとマツイ、僕は後半スタートを選んだ。

シンジ、ハラダは握手をしていた

皆の酔狂の為にどちらが勝つか賭けをしているが、もちろんそれはお互いを鼓舞しあうためだ。

二人とも初めてのアイアンマン。完走する事がまず第一だ。もちろん、二人とも。そして六人、「みんなでアイアンマン」になるのだ。

シンジはスタートライン近くで、コースを見つめていた。

今回のアイアンマンのコースは、まずスイムのスタートはここパーム・コーブ・ビーチ。

最初に500mほど沖に泳いだ後、沖では左側に向かってカレント(流れ)がある。この流れに合わせて海を見て左に900m泳ぐ、そしてそこから500mほど浜まで戻ってきて、一度ビーチに上がる。

このビーチ部分がハーフ地点の1,900m。

その後、M字を描くようにジグザグ泳ぎ、最後はスタート地点のパーム・コーブまで戻って来ての3.8kmのワンループのスイムだ。

そして、次はバイク180km。

パーム・コーブから、キャプテン・クック・ロードを北上する。途中、左手は断崖、右手は海という風景が最高のところを通る。キャプテン・クック・ルックスルーというポイントだ。

そして、30kmほど北に行ったこじんまりしたビーチタウンで折り返す。

またパーム・コーブまで戻ってきて、折り返し、再度まで行く。この時点で90kmほどの中間地点。

ここからずっと南に下る。再度、パーム・コーブを過ぎ、更に60kmほど下って、ケアンズ市街まで180kmかけて戻ってくる。

ここでバイクを置き、最後のラン・パートのフルマラソンでケアンズ市街を走る。

海沿いに港、公園などがあり、1周14kmのコースを3周する。

そして、ケアンズ公園の中心地に花道としてレッドカーペットの先に、アイアンマンのゴール・ゲートがある。

このゲートを17時間以内。時間にして次の日の夜中12時過ぎまでに通り抜けられれば、あの有名なフレーズを言ってもらえる。

“YOU ARE AN IRONMAN NOW!”

それを言ってもらう為に今この舞台に立っているのだ。

武者震いに似た体全体に気合が入る。

おもむろにホーンの音が響き渡った

アイアンマン・ケアンズのスタートを告げ最初の3.8kmスイムパートがスタートしたのだった。