100 Days to Ironman Next

残り0日 – それぞれのその後

シンジはやはり、倒れていた

シンジはやはり、倒れていた。

その後も脚がつりやすくなり、マラソンで脚がつってコけ、バイク連でもたびたび倒れていた。

ただ、ケアンズ・アイアンマンでの教訓を活かし、もう一度アイアンマンに挑戦しようとしている。今度は倒れずに、バイクを気持ちよく終える為に。

次の目標は、ヨーロッパ・チャンピオンシップ、世界屈指の規模を誇るアイアンマン・フランクフルトに向けて。

ノリコはやはり、泣いていた

ノリコはやはり、泣いていた。

その後も、ノリコは自分に明確な目標を課し、それをクリアし、そのたびに泣いていた。

佐渡ロングトライアスロンではエイジ2位、オリンピック・ディスタンスでは苦手なバイクを向上させ、ノンエリート(一般のアマチュア)で女子1位を獲得した。

次なる目標は「コナ」である。あのアイアンマンの最高峰、チャンピオンを決めるハワイ島コナに出るべく、次回のアイアンマン・ケアンズでエイジ入賞を狙っている。

ケアンズでもう一度泣き、コナでも泣けるのか。

満月に一番近い土曜日(*)に向けて今日も走っている。

(*) アイアンマン・コナ世界チャンピオンシップは、毎年10月の満月に一番近い土曜日に開催される事になっている。

ハラダはやはり、飲んでいた

ハラダはやはり、飲んでいた。

ケアンズから戻るとまた接待漬けの日々が待っていた。

それでもあのアイアンマンでの達成感は何事にも代えがたい。

経営者魂が、もっと良く、もっといいタイムで、もっと美しく終わりたいという次なる欲望を生む。

次は、シンジからのリベンジを受けて、フランクフルトのアイアンマンに再度出るつもりだ。

マツイはやはり、寝ていた

マツイはやはり、寝ていた。

アイアンマン・ケアンズが終わった後、家族水入らずで、グレードバリアリーフの離島でのんびりしていた。

どこまでも続く白い砂浜で、息子と寝そべり、幸せな寝落ちをしていた。

新たなガジェットを手に入れたのだ。今後はドローンだ。トライアスロンの模様を空撮して、その迫力映像をVimeoに投稿するのだ。

いつかは、自走追随型のドローンを手に入れ、アイアンマン・レースで自分をずっと追随させ、全てを映像に収めるのを夢見ている。

次の目標を夢見ながら。

そしてケンは、、、

そしてケンは、、、

ケンは、走っていた。

特に目標があるわけでもない。

アイアンマンのあと、何かぽっかり穴が開いてしまったようで、何事にも集中できない。

でも、普通のサラリーマンの日常が戻ってくる。

満員電車に揺られながら、窓越しに写る自分の姿が見えた。

自分はアイアンマンだろうか?

そんなことは誰もしらない。

あのケアンズの海、道、ゴールだけが知っている。

またやろう。あの仲間と一緒に。

また、みんなでアイアンマンになるのだ。そう、心の中で誓ったのだった。

[100日でアイアンマン 完結 ]

[この作品は実話を元につくられていますが、登場人物は全て架空のものであり、フィクションです。トライアスロンに関する、様々な情報は参考であり、実際に行う際は自己責任でお願いします。トライアスロンをみんなで楽しみましょう。]